ライブとライブチケットについて

『ライブとライブチケットについて』
ここでお会いできるのは、お久しぶりですね。
今年の梅雨は強力すぎてお日様が恋しい片岡です。さて今日は表題にある通り、ライブとライブチケットについてのお話をさせて頂けたらと思います。以前にもここで似たような話をしたことがありましたが、そこから月日も経過しているので、2019年7月現在の気持ちを。
久しぶりに長文を書いたので、更新する手がフルフルと震えています。
よろしくお願いします。

 

フィルターは最小限にして、直接出会って音楽を伝えたい。sumikaはそんなバンドです。
そして「sumikaのライブに行ってみたいと思ってくれる、全ての方が来れるように」という考え方は結成当初から今現在まで変わっていません。

 

しかし、日々変化してゆく音楽の聴き方や、価値観の中で、僕たちの考え方を一方的に押し付けてしまうのも、お互いにとって良くないなとも思っています。僕たちの一番の目標は、sumikaに関わってくれる人がお爺ちゃんお婆ちゃんになっても、音楽を続ける事なので、音楽を嫌いになってしまう可能性がある道には足を踏み入れないように心掛けながら。

 

過剰な供給も、過剰な需要も、そのどちらも上記の危険を含んでいると思っています。変化する事は決して悪いことだとは思いません。あるべき形は常に変わるものなので、必要以上に無理はせず、人道から外れた事はしない。という信頼関係で築いてゆくのが健康的な縁だと感じています。少しでも興味をもってこの文章を読んでくれているあなたとは、相互通行の関係性で在りたいので、ライブ会場で書いて頂いたアンケートや、メールやSNSでの意見(稀に見かける使い捨てアカウントはちょっとズルいなあと思いつつ、でもちゃんと見れています。笑。意見は大事)、を元に、次のツアーの会場を決めたり、チケットの販売方法を考えています。

 

まず会場の決め方については現状2種類あります。まず1つ目は前回の応募数を見て希望した数の方々がなるべく全員来れるように、その応募数を満たせる会場を探す。という決め方です。これは各地のイベンターチームが本当に気合い入れて頑張ってくれて、前回の応募数分を満たすだけではなくて「むしろチケットが余ってもいいからこの会場でやろう」という、キャパに少し余裕を持たせたところを全会場抑えてくれています。ここ数年は有難いことに前回のツアーよりも、応募数+新規応募数が予想を大幅に上回って「残念ながらチケットをご用意することが出来ませんでした」というメールを送る事も、不本意ながら多くなってきています(あのメールは何回きても心折れますよね)。

 

この決め方をしている以上は、来たいと思ってくれる方が全員来れるように、これからもイベンターチームと話し合って会場を考えていきたいと思います。

 

そして2つ目の会場の決め方は、ここで見たいと思ってくれる会場でライブを行う。という決め方です。分かりやすく言葉にするならライブハウス、ホール、アリーナのように収容人数によって客席の形態が全く異なる会場ですね。

 

収容人数が100人であっても、1000人であっても、10000人であっても、僕らは1対1×?として臨むので、客席の人数によって音楽との向き合い方が変わるという事はありません。結局は昔からやってきた通り、いつも通りの1対1で臨むのが、一番グッとくるし、性に合っているみたいです。

大切なのは、ライブハウスでしかできない表現、ホールでしか、アリーナでしか出来ない表現があって、その会場に合っている表現方法は様々だなというのと、そのどれもがめちゃめちゃに楽しくて、やり甲斐を感じている。ということ。

音響設備や照明の仕掛けをゼロから考えられる。マイクを通さずとも地声でその場の全員に届く。立ち or 座りで音楽を感じてもらう。会場によって表現方法の相性があります。だから収容人数の事だけを考えるのではなく、音楽の表現方法にこだわって会場を決めるというやり方も取り入れています。

アンケートを見ていると、ホール・アリーナ規模でのツアーでは「ライブハウスで観たい」ライブハウス規模のツアーでは「ホール・アリーナで観たい」という意見は必ず一定数あるので、ラーメンも美味しいし、カレーも美味しいのと同じように、どちらが優れた食べ物か?に争点は置かずに、純粋に美味しいご飯作ろうぜ。という感覚でどちらも大切にしていきたいなという気持ちです(この例えが分かりづらかったら、ごめんなさい)。

さあ、そんな気持ちでライブ会場を選び、チケットをどう皆さんに届けていくか?という所についてもお話していきたいと思います(ここら辺で一発コーヒーブレイク推奨)。
ライブチケットの一般発売日にプレイガイドでチケットを探してくれる方、ATTiC ROOMに入って応募をしてくれている方、各地のイベンターが実施しているチケット販売、sumikaの作品に封入されている応募券を使ってエントリーしてくれている方、様々な方法で、様々な方に向けてアプローチをしてきました。

「ファンクラブに入っているのに、チケット当たらないのはキツい」

と思われた方、僕も同じです。自分自身も長年アーティストのファンクラブに入っているのに、一生チケット当たらないことで何度も心が折れました。でも、そんな時に届くんですよね。。心のこもった会報誌が(クゥゥ)
辞めてなるものか。と持ち直してまたチケット応募して外れて、今度は会員継続特典が届いて持ち直して、、いやあ、よく出来ているなあ先輩のファンクラブ。見習おう。会報誌とビデオレター(MOVIE)どっちがいいんだろうか。などなど日々考えています。

発足から1年7ヶ月、本当に多くの方に加入して頂けて嬉しいです。僕にとっても、すっかり大切な居場所。
ファンクラブに入ってくれている理由は人それぞれだと思います。
ATTiC ROOM発足時にビデオレターでも発信した、sumikaの過程を知ってもらうという場所。継続特典やATTiC ROOMでしか手に入らないグッズのため。会員同士で交流をしたい。そして勿論、ライブチケットを取りやすくするため。

そのどれもが大切な理由だと思うので、自分の中のそれが欠けてしまった時に辞めようと思うのは自然な気持ちだと思いますし、いつでも帰ってこれるようにドアは全開ですので決して無理しすぎず、出る時は出て、来たい時にまたいつでも来てくれたら僕は嬉しいです。この場所でやっていきたい事も沢山あるので、少しずつ実現してゆきたいです。

「はじめまして」の方のハードルを下げたい。

sumikaの作品は買うけど、ライブは行った事がない。という方にも是非ライブを観てほしい。ライブに行く前と後で、曲の聴こえ方が変わるという体験は本当に素敵なものなので、なるべくそこに至るまでの第一ハードルは上げたくない。作品へのチケット応募券の封入は、そのような気持ちで行なっています。
学生時代に初めて行ったライブ会場の入り口はやっぱり少し怖かったし、知らないコミュニティに飛び込むという行為は年齢性別関係なく、なんなら音楽とかライブとか関係なく、多少なりとも抵抗はあることだと思うので。

これはsumikaを知って日が浅い方に対してだけではなくて、昔からずっと大事に思ってくれている方や、ずっと列に並んでくれている方に対しても平等に抱いている感情で、いつでも、誰でも、多少の恐さがあった「はじめまして」と向き合ってお互いにライブを作りたいからです。

そして今回発表になった『地域販売チケット』について。

これはあなたが育った、あなたが今生活している街に我々がお邪魔して、そのあなたにライブを見てもらいたいという気持ち。
そして便利な世の中で、めちゃめちゃに不便だけど、やっぱり自分の足で動いて、手に入れる。という過程に今一度魅力を感じたからです。
枚数的にはきっとそれほど多くは出せないとは思うのですが、それでもこの方法を選択肢に入れたことと、結果がどうであれ、動いてくれたあなたには”さっき”とは違う “今”が確実に訪れてくれるのではないか?というワクワクとした好奇心から生まれたものです。チケットが取れてないという人が多くいるという現状があることも重々承知の上です。

この街で生きていて良かった。という気持ちを心の何処かに置いてライブを観てもらえたら、その街の事を僕たちも、もっと深く知れると考えています。
他の街から遠征で来てくれた方と、今回のチケットを手にしてくれた地元の方が交流したり、ライブ中の雰囲気でその街を好きになる。という化学反応が起こってくれたら最高に幸せだなと、ほんのり期待をしています(でもプレッシャーに感じないで下さいね。笑)。

今回はライブについて。そしてライブチケットについてのお話でした。
書き出してみて欲深い考え方だなあと、正直思う点も多々ありますし、例えばチケットの公式トレードなど中々進展させられず歯痒い思いを抱えている中でこのような文章を書くのはどうなんだろう?と思うところもありますが、ここで伝えておかないと後悔するなと思って書かせて頂きました。

人間として生きている限り、絶対に来年もツアーをやれるという保証はどこにもありません。メンバーが病気になったり、事故にあったりする可能性がいつでもある限り、そこに”絶対”はありません。
だから毎回悩んで、毎回出来る全てをやりきって、毎回悔いのないように1本のライブ、1本のツアーを作っていきます。

それはライブだけではなく、1作品、1曲、1音であり、発する一言であり、このNikkiもそうです。
感動の過程に、当たり前はありません。
有り難い事たちが織り成されて、鳥肌になり涙に変わります。

久しぶりに書いたか。と思えばこんな弾幕のような文章で申し訳ありません。
だけどこんな弾幕のような言葉たちを受け止めて、咀嚼してくれようとすること自体が当たり前ではないと思っています。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
出会える瞬間を、何度でも胸高鳴らせ、待っています。

sumika
片岡健太